三宅香帆さんの新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んだ。
日本の労働の歴史と、図書館や出版、ベストセラーの変遷から、主にサラリーマンたちがどのように本と関わってきたかを考察してあって、読み応えがあった。
なにより、この「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」については、「ノイズを受けつけなくなるから」というのが回答で、なるほどと思った。
私は出版社に勤めていたし、人生を通して本を読まないという時期はほぼないのだけれど、それでもやっぱりなかなか自分の趣味としての本は読めなかった。
日々仕事で疲れきっていて、帰ったらテレビでもぼーっと見るのが関の山。
たとえ時間があっても、なんだか本を読む気にはならなかったり、読んだとしても仕事につなげようとしたりで、結局仕事の延長線上だったかもしれない。
純粋に読書を楽しむ、つまり、自分と全然違う境遇の他人の人生を知るという”ノイズ”に触れる余裕がなくなっていたのだと思う。それは実感する。
ちなみに、最後に三宅さんが働きながら本を読むためのアドバイスをしているのだけど、私の方法は、一人旅に出ること。
飛行機や新幹線などの移動時間は読書のチャンス!
一人でリゾートに行って、ビーチで日がな一日本を読むだけの旅も良い。
積読を2〜3冊スーツケースに放り込んで、夏休みに消化していた。
『1Q84』や『ブラフマンの埋葬』はハワイのビーチで読んだ記憶がある。
なんだか異世界感が増して印象が強い気がするから、そういう意味でも旅と読書は相性がいいんじゃないかと思う。
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