11/21 山本文緒『ばにらさま』

山本文緒さんの『ばにらさま』が文庫になっていたので、読んだ。
作家の想像力というものに圧倒されて、打ちのめされている。どうしてこんな面白い展開を思いつくのだろうか。
プロと比べてはいけないと思いつつも、自分の書くものがつたなすぎて泣きたくなる。

シナリオセンターにサボりながら10年間くらい通っているけれど、なかなかうまくならない。書いても書いてもゼミの仲間に「面白い」の一言がもらえないと、私はすぐに倦んでしまう。帰り道には石ころ蹴っ飛ばす勢い(表参道に石ころは落ちていないが)。
先日、短編小説が小さな賞で最終まで残ったけれど、選にはもれてしまった。それも尾を引いているのかもしれない。なんだか落ち込む。
つくづく、諦めてしまえばラクにはなれるんだよな、とは思う。

それにしても表題の『ばにらさま』は、凄みのある作品だった。
男の人に気に入られようと必死な女の子を「あざとい」と言って責めたり笑ったりすることがあるけれど、ああいうのはもうやめたい。
若い女性をこんなにも不安にさせて媚を売らせているのは誰なのだろう、なんなのだろう。
かつての自分もそうだったことを思い出す。思い出してしまって、ひどく痛々しい気持ちになる。

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